実は知られていないエンジニアの種類を解説! 仕事内容や種類に応じた適性とは?
エンジニアという仕事はひとくくりにされてしまいがちですが、実は多くの種類にわかれています。一般の人がイメージするように、パソコンや機械とにらめっこを続けるような職種もあれば、多くの人とコミュニケーションをとる時間のほうが多い職種もあるのです。
仕事の種類によって適正や求められるスキルも異なりますので、エンジニアへの就職・転職を目指す際は、それぞれの職種の特徴を理解することが大切です。具体的にエンジニアはどのような種類があるのか、気になる方もいるのではないでしょうか。そこでこの記事では、エンジニアの職種を5つの分野にわけて、各職種の仕事内容をわかりやすくご紹介します。
システムエンジニアの仕事内容や適性
エンジニア=システムエンジニア(SE)という印象をもたれている方が多いかもしれません。しかし典型的なエンジニア像とは異なり、コードを打ち込む時間はあまり多くない職種です。キャリアアップした際の職種とあわせて、まずはSEについてご紹介します。
SEの仕事内容は仕様書をつくること
SEの仕事は、クライアントからの相談を受けるところからはじまります。依頼者がなにを求め、どのようなシステムを希望しているのかを聞き入れ、実現可能なシステムづくりを提示します。また、その設計図となる「仕様書」を作成することが重要な仕事です。
SEがつくった仕様書はプログラマー(PG)など、ほかの職種のスタッフにわたります。原則としてSEのおもな仕事はここまでです。エラーやバグが発生した際のバックアップや、運用のテストに参加することもありますが、パソコンと向き合う時間はさほど多くありません。
ただし企業の規模によっては、SEがPGの作業を兼任する場合があります。とくに専任のPGを配置できない中小企業や、人数が限られているスタートアップにこの傾向が目立ち、プログラミングに関する基礎技術も求められる職種です。
SEが目指せる上位職はおもに2種類
SEとして目指せる上位職は、おもにプロジェクトマネージャーとプロジェクトリーダーの2種類があります。前者はプロジェクト全般のマネジメントを実施する職種であり、作業を任せるスタッフを決めたり、予算を決定したりすることが仕事内容です。
プロジェクトリーダーは、マネージャーの右腕となってスタッフを先導する立場です。中間管理職のようなポジションともいえるでしょう。このふたつの職種には、責任感や決断力、統率力といったリーダーとしての資質が求められます。
開発系エンジニアの仕事内容や適性
エンジニアの仕事としてイメージしやすい、「パソコンと向き合う職業」をまさに実行しているのが開発系エンジニアです。前述したプログラマーもこの職種にふくまれます。どちらかといえば専門職としての色合いが濃く、単体でのステップアップは困難です。それぞれの職種をより詳しく見ていきましょう。
プログラマー
SEが用意した仕様書にそってシステムを作成する、「コーディング」と呼ばれる仕事を専門的に担当する職種がプログラマー(PG)です。PGの実力は作業効率によって評価されることも多く、難しい仕事をいかに早く、そして正確に完成させられるかが腕の見せどころになるでしょう。
基本的には常にパソコンの画面と向き合い続けることになりますので、集中力を長く保てる人ほど適性がある職種です。コーディングにはプログラミング言語を用いることになり、就職や転職の際には実務経験や資格の有無が重要視されます。
組み込みエンジニア
家電製品などには、さまざまなプログラムが組み込まれています。たとえばテレビの自動電源オフといった機能や、スマホアプリと連動させてエアコンのスイッチを入れるといった機能もシステムで動いています。こういったシステム開発を専門的に手掛けるのが、組み込みエンジニアという職種です。
組み込みエンジニアとよく似た職種として「制御系エンジニア」というものもあります。制御エンジニアは、設定値以上の数値を出さないようにコントロールするシステムを開発する仕事です。たとえば、自動車の自動ブレーキをはじめとするアシスト機能も、制御系エンジニアが開発しています。
インフラ系エンジニアの仕事内容や適性
データベースやサーバ、ネットワークといった、すべての基盤となるシステム開発を手掛けているのがインフラ系エンジニアです。大掛かりなプロジェクトになることが多く、こちらもコミュニケーションをとる機会が多い職種といえます。役割を細かく分類して、より詳しくご紹介しましょう。
ネットワークエンジニア
Webに関連するシステム開発を手掛ける職種です。プログラミングに関する知識や技術のみならず、専門的な機器に関する知識も求められます。CCNAなどの資格取得が必要となる場合もあり、難度があがる分だけ年収も高くなる傾向にあることが特徴的です。
たとえばルータ、DNS、ファイアウォールといった技術の構築や運用、保守を手掛けるのがネットワークエンジニアです。テクノロジーの向上による影響を受けやすい職種であるため、探求心が強い人物に適性があるといえるでしょう。
セキュリティエンジニア
ネットワークのなかでも、セキュリティ部門に特化したシステム構築と運営を行う職種です。変異するウイルスやサイバー攻撃を未然に防ぐことが求められるため、責任感の強い人物にとって適職といえます。
クラウドエンジニア
近年、とくに需要が拡大している部門です。多くの企業がクラウドを積極的に活用する流れのなかで必要となった職種であり、クラウドに関する専門知識が必要です。今後も多くの依頼が集中する分野になると予想されるため、技術と知識を身につけることがキャリアアップに直結します。
機械・電気・工学系エンジニアの仕事内容や適性
機械設備の設計や製作、改造、保守管理など機械に携わる業務を行い「モノづくり」の工程を担うのが機械系エンジニアです。機械工学についての専門的な知識に加え、ソフトウェアの知識やコミュニケーション能力、マネジメント能力が必要です。
プラントエンジニア
プラントとは工場設備一式を指し、企業内の生産設備管理、設計・管理を専門的に行うのがプラントエンジニアです。これらは「機械系」「化学系」「電気系」「土木系」など分野が分かれており、分野ごとに業務内容は異なります。それぞれの分野で求められる知識は異なりますが、いずれも大学の理工学部の学士以上の知識が必要となるでしょう。
メカトロニクスエンジニア
コンピュータ、家電製品、自動車、航空機、産業用ロボットなどさまざまな製品・機器の設計や開発を行うのがメカトロニクスエンジニアです。
現代の製品・機器にはマイクロコンピューターが搭載されているため、ただ部品を組み立てるだけでなく、使い方に合わせて作動方法を変えられるよう、いくつものプログラムをコントロールする必要があります。
そのため、機械工学だけでなく、電子工学についての知識や技術も必要となります。
エレクトロニクスエンジニア
コンピュータ、家電製品、自動車、航空機、産業用ロボットなどさまざまな製品・機器に組み込まれている電子回路の設計や開発を行うのがエレクトロニクスエンジニアです。
電気電子工学関する知識や技術のほかにも、論理的な思考力や発想力が必要な職種です。
昨今、さまざまな分野でのAIやIoTの活用が広がっていますが、それに伴い、エレクトロニクスエンジニアの需要は非常に高まっています。
上記以外のエンジニアの仕事内容や適性
エンジニアとしての主要な職種をご紹介してきました。しかしITの多様化にともない、これらのジャンルにふくまれない職種も増加しています。エンジニアが目指せる上記以外の職種について、この項目にまとめました。
Webデザイナー
厳密にいえば、Webデザイナーはエンジニアとはまったく異なる職業です。ホームページなどのデザインを担当することが多い職種であり、原則としてプログラミングの専門知識は不要です。
しかし、Webデザイナーという肩書きで活躍するエンジニアは少なくありません。自分自身でデザインとプログラミングを担当することができるためです。システム開発を外注する必要がなく、自己完結させられます。そのため、フリーランスとして働く人と相性がよい職種といえるでしょう。
セールスエンジニア
エンジニアとして働きながら、会社の売上を支える営業担当者としても活躍する職種です。プログラミングの現場について深く理解している人が営業を担当することによって、セールスを進めやすくなります。セールスエンジニアは企業からは非常に重宝される職種といえるでしょう。
この仕事は、キャリアアップにも役立てやすい職種です。顧客がなにを望んでいるのかをより深く知ることができるため、市場調査をしやすいという側面ももっています。独自のシステムを開発する企業では、とくに活躍を見込めるでしょう。
テストエンジニア
その名のとおり、システム運用まえのテストを専門的に実施するエンジニアです。一般的な会社では、SEやPGがこういった仕事を担当します。しかし、より公平な評価を求めるクライアントが増加したことを受け、第三者機関としてテストを専門に実施するエンジニアが増えてきました。
単純にシステムの評価を下すだけではなく、修正すべき点がある場合には具体的にその内容を示し、指示を出し、自ら修正することも仕事にふくまれます。論理的な思考力をもつ人や、よりよいシステムをつくりたいという志をもった人に向いた職種です。
まとめ
エンジニアという業種の仕事内容は漠然としています。しかし、細かく分類することによって、それぞれの職種がまったく異なる特色をもつことがわかるはずです。また、意外にもコミュニケーションが重要となる職種が多いという点も特徴のひとつといえるでしょう。
エンジニアを目指すにあたっては、まずは自分がやってみたい仕事ができる職種を見つけることをおすすめします。与えられる仕事にやりがいを感じられるかどうか、自分に適性のある仕事なのかどうかを見極めて、その職種に必要な知識や資格を身につけることが大切です。