エンジニア基礎知識
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エンジニアにコミュニケーション能力は必要? 重要性や対策を徹底解説!

エンジニアの仕事と聞くと、1日中パソコンに向かって作業するというイメージがあるかもしれません。エンジニアを目指す方の中には、ITに関するスキルや知識を持っていればエンジニア業務をこなせると考える方も多いのではないでしょうか。しかし、クライアントのニーズに合ったシステムを開発するためにはコミュニケーションは欠かせません。
ここでは、エンジニアのコミュニケーション能力の重要性について解説します。コミュニケーション能力を磨くメリットや習得方法が分かれば、エンジニアへの就職や転職の際に有利になるでしょう。

エンジニアにコミュニケーション能力は必要?

エンジニアはコツコツとプログラムを作成するのが主な業務という印象があるため、コミュニケーション能力は最低限持ち合わせていれば済むと考える方もいるでしょう。しかし、実際にはクライアントやメンバーと接する機会が多く、質の高いシステムを作り上げるにはコミュニケーション能力は不可欠です。ここでは、エンジニアにとってコミュニケーション能力が必要な理由について解説します。

 

<h3>エンジニアにコミュニケーション能力が必要な理由</h3>

エンジニアはパソコンの前に座り黙々と作業をするイメージの強い方が多いと思いますが、システム開発はチームで行います。そのため、プロジェクトを遂行するにはコミュニケーションが欠かせません。チームで開発する際には、以下のプロセスでコミュニケーションが必要です。

 

・スケジュール設定

・チーム間の調整

・情報伝達や確認

・情報の共有

 

チームのメンバーとコミュニケーションが取れないと、作業がストップしたりミスが発生したりする恐れがあります。質の高いシステムを納期までに開発するには、他のエンジニアとの連携が欠かせません。

 

また、エンジニアはクライアントのニーズに合ったシステムを開発します。顧客満足度を高めるには要望のヒアリングやクライアントへの積極的な提案が重要です。クライアントやメンバーから信頼を得るためにも、コミュニケーション能力を磨きましょう。

 

エンジニアにとって必要な相互コミュニケーション能力とは

エンジニアにとって特に必要な能力は、相互コミュニケーション能力です。相互コミュニケーション能力とは、必要な情報を相手に分かりやすく正確に伝え、相手から得た情報を理解する能力を指します。話が上手でたくさんの方とコミュニケーションが取れるという意味ではありません。

 

例えば、クライアントの要望やシステム開発の進捗について話し合う際に、自分の考えを伝えるだけでは有意義な話し合いにはならないでしょう。相手の発言を聞き発言の意図を理解した上で、こちらの意見を伝えることが重要です。

 

一般的に、話す時間が相手と同じ量だと会話が弾むといわれています。話す時間が相手より大幅に長いと感じたときは、相手に意見を聞くなどして相手に話してもらうよう心掛けましょう。

エンジニアがコミュニケーション能力を磨くことで得られる3つのメリット

クライアントのニーズを正確に把握した上で、良いアイデアを提案できるのがコミュニケーション能力を身に付けるメリットです。さらに、将来のキャリアアップにもつながります。ここでは、コミュニケーション能力を磨くことで得られる3つのメリットを紹介します。

 

クライアントのニーズを正確に把握できる

システム開発を依頼するクライアントは何らかの問題を抱えています。ITのプロフェッショナルとして現実的な観点から可能な解決方法を検討し、ときには要否を考えシステム開発を提案するのがエンジニアの仕事です。

 

コミュニケーション能力が高いほど、クライアントが求めているものを理解して論理的に考えられるため、クライアントのニーズにより近づけられます。相手の要望をインプットして正確に把握することが、質の高いシステムの開発が可能でしょう。

 

数多くのアイデアが生まれる!

システム開発やメンテナンスを担当するエンジニアは、クライアントの抱えている問題を的確に捉えながらシステムの開発や改善をしなければなりません。

 

コミュニケーション能力があれば、相手の気持ちをくみ取り自分のアイデアを伝えられ、会議の場で新しいアイデアが出やすくなるでしょう。数多くのアイデアを出すことで、より質の高いシステムを提供できます。

 

キャリアアップの可能性が高まる

エンジニアとして実績を積むことで、管理職へのキャリアアップが可能です。プロジェクトの管理やメンバーの育成といった仕事に携われるでしょう。

 

ただし、管理職として活躍するにはコミュニケーション能力が必要です。早い段階で習得できれば、クライアントとの交渉やエンジニアとの連携で結果を残せます。プロジェクトを成功に導き、スキルや実力を高く評価されれば、管理職としてキャリアアップできる可能性が高まるでしょう。

エンジニアに必要な4つのコミュニケーション能力

エンジニアに必要な相互コミュニケーション能力は、交渉能力、提案能力、理解力、信頼関係の構築力の4つに分かれます。クライアントとの関係を強化し、システム開発に携わるメンバーから信頼を得るには、これらの4つの能力を身に付けましょう。ここでは、それぞれの能力の特徴や必要性について解説します。

 

交渉能力

交渉能力とは、自分と相手の意見や主張を調整して合意を得るスキルです。交渉の過程で双方が納得できるように擦り合わせて、最終的に問題を解決します。

 

例えば、クライアントの要望に対して「無理です」と即答すると、信頼関係が損なわれる恐れがあるでしょう。しかし、互いに妥協点を見つけながら話し合いをすれば、信頼関係を保ったままプロジェクトを続けられます。システム開発では期限や納品物に関して調整の必要な場面が多々あり、信頼関係を損なわずに要望を叶えられる交渉能力が欠かせません。

 

提案能力

提案能力とは相手と自分の双方にとってプラスになる提案を考えて、分かりやすく相手に伝えるスキルです。クライアントの視点ではニーズや予算、自社の視点では利益や効率を検討します。

 

クライアントにとっては納期を守ることが一番の要望である場合がほとんどですが、さらに良い結果につながるのであれば積極的にアイデアを提案しましょう。エンジニアには指示通りのものを納品するだけでなく、クライアントの意図を的確に捉えながら新しい提案ができる能力も求められます。

 

理解力

理解力とは物事の状況や仕組みを正確に把握するスキルです。相手の状況や立場を慎重に吟味して、自分に対して何を求めているのかを的確に判断します。

 

エンジニアとして働く場合、クライアントが持っている価値観や要望を正しく把握しなければなりません。視野を広げながら話に耳を傾けると、相手の考えを正しく理解できるでしょう。また、考えに共感できれば、相手との距離を縮められます。

 

信頼関係の構築力

信頼関係の構築力とは、相手の信頼を得るために関係を深めたり、共感したりするスキルです。エンジニアとしては働くには、自分のしたいことだけでなく相手がしてほしいことを考えることが必要不可欠です。

 

クライアントが自社に依頼した目的を素早く察知できれば、相手が満足する良い提案ができます。「自分たちのためにここまでしてくれる」ということをアピールできれば、信頼関係が構築されるでしょう。

コミュニケーションが苦手な人へ解決策を伝授

エンジニアがクライアントと信頼関係を築き、システム開発を円滑に進めるにはコミュニケーションが不可欠です。しかし、人と接するのが苦手な方は難しいと感じるかもしれません。ここでは、コミュニケーションが苦手な方への解決策を紹介します。

 

コミュニケーションを取るためのきっかけ作りが大切

コミュニケーションを取るには、きっかけ作りから始めましょう。まずは、休憩時間や移動時間に世間話をするのがおすすめです。積極的に話し掛けることでコミュニケーションのきっかけが生まれます。

 

一方で、声を掛けるのが苦手な方もいるでしょう。自分から話し掛けるのがベストですが、難しい場合には話し掛けやすい雰囲気を作ることが大切です。人当たりの良い和やかな雰囲気を作ることで、気軽に話し掛けてもらえるでしょう。

 

相手への関心は必要不可欠!

コミュニケーションに必要不可欠なのは、相手に興味や関心を持つことが何よりも大切です。相手に興味を持つと、話したいことや聞きたいことが増えます。また、相手も自分に対して関心を持っていることが分かると、答えなければならないという気持ちになるでしょう。その結果、会話が弾むだけでなく、信頼度や好感度がアップします。

 

他人に関心を持つのが苦手な方は、相手から学べること、自分との相違点や共通点、相手に役立つことを意識することから始めましょう。

 

柔らかい表情を意識する

コミュニケーションを取る際は、話の内容だけでなく表情も大切です。人と話すときに表情が硬くなりやすい方は、柔らかい表情を意識しましょう。表情が硬いと、相手に「何を考えているのか分からない」と不安を与えてしまい、コミュニケーションを続けるのが難しくなります。

 

豊かな表情とは状況に応じて表情を変化させることです。会話が楽しいと感じているのであれば、少しでも表情を動かすことを心掛けましょう。

 

聞き上手になる!

コミュニケーションにおいては、こちらから話題を振るだけでなく、相手の話を聞く姿勢を持つことも大切です。聞き上手とは心から聞く姿勢を持った人のことです。相手の気持ちに寄り添う聞き上手の方は、クライアントからの信頼を得やすいでしょう。

 

また、自分が話す際は相手の立場を考えて話すことを心がけましょう。そして相手が理解できるような分かりやすい話し方をしましょう。例えば、エンジニアではない方が相手であれば専門用語を多用せず、クライアント目線になった会話をすることで好印象を与えられます。

 

否定から入ることはNG

相手が話したことに対して「しかし」「私の考えとは異なる」と否定から入ると、相手の気分を損ねる恐れがあります。

 

議論をする上で、否定することも必要となる場合があります。ただし、いきなり否定から入るのではなく、一度相手の意見を肯定してから適度に否定しましょう。反論したいときも、相手の意見を受け止めることで、自分の意見を受け入れてもらえる雰囲気が作れます。

求められるエンジニアになるために習慣にしたい5つのこと

プロジェクトを組んで仕事をする際には、高いレベルのコミュニケーション能力が必要です。ネットワークエンジニアとプログラマー、デザイナーとコーダーといった別のスキルを持つエンジニアが共同で作業する機会は多いでしょう。ここでは、コミュニケーションが苦手な方への解決策として、日常生活で習慣にしたい5つのことを紹介します。

 

「気持ちの良い挨拶」で第一印象をアップ!

しっかりとした挨拶はビジネスマナーの基本です。エンジニアには引っ込み思案の方が多いといわれており、出社時や退社時の挨拶ができない方もいます。挨拶ができなければ、会社での評価は下がり、信頼を得られません。転職する際も、気持ちの良い挨拶ができるエンジニアのほうが有利です。

 

挨拶はただ声を出せばよいわけではありません。表情は笑顔を心掛け、しっかりと相手の目を見て、はっきりとした口調で行いましょう。何かをしながらの挨拶や目線を合わせない挨拶は相手に悪い印象を与えます。聞き取りづらい小声で話すことも避けましょう。挨拶の仕方でクライアントの印象も変わるため、普段から習慣にすることが大切です。

 

「バックトラッキング」を使いこなす

バックトラッキングとはオウム返しのことで、相手が発した言葉を繰り返して会話を続ける技法です。バックトラッキングを使うと、相手に肯定的な感覚を与えられます。

 

相手が使った言葉を活用すると、無意識のうちに「そうです」「その通りです」といった肯定的な言葉が増えるでしょう。互いを肯定する会話が続くことで、相手は「この人は自分の話を理解している」と心を開き、込み入った内容も話しやすくなります。

 

ただし、バックトラッキングを使いすぎると「オウム返ししかできない人」と認識されて真剣に話をしてもらえない恐れがあるため、やりすぎは禁物です。話すペースを相手に合わせるといったテクニックを交えながら、自然に使えるようにしましょう。

 

安心感を与える「ペーシング」テク

ペーシングとは、相手の話し方や状態、呼吸といったペースに合わせて話すことです。例えば、相手がゆっくり話す方であれば同じ早さで、声量を抑えて話す場合には同じ声量で話すことが大切です。

 

ペーシングのメリットは、話し手と聞き手に一体感が生まれることです。ペースが合うと相手は心地良いと感じるようになり、リラックスした雰囲気を作り出せます。ペーシングを巧みに利用すれば、強固な信頼関係を構築することが可能です。

 

ペーシングを身に付けるコツは観察力です。相手の肩や腹部の動きをチェックして、呼吸やリズムを合わせて話しましょう。クライアントや共同作業するエンジニアからの信頼を得たいときにおすすめのテクニックです。

 

「YESセット話法」で信頼をゲット

YESセット話法とは、何度も「Yes」と返事することで、次の質問に対しても「Yes」と答えやすくなるという交渉テクニックです。肯定してもらいたい質問の前に「Yes」と答える質問を積み重ねることで、相手が心を開き、本題の質問に対しても安心して耳を傾けてくれます。

 

YESセット話法が有効である理由は、一貫性の法則が働くためです。人は行動、信念、態度を一貫させたいという心理的傾向があります。肯定を繰り返すことで、相手に安心感を与えられるでしょう。

 

YESセット話法を使うおすすめの方法は、相手が「Yes」と答える質問を3回繰り返すことです。クライアントとシステム開発について話し合うときに活用することで、信頼関係の構築が可能です。

 

「ビジネスチャット」をどんどん利用する

ビジネスチャットとはビデオ通話、ファイル共有、スケジュール管理、チャット機能といったビジネスでの用途に特化したコミュニケーションツールです。チャット機能による文書のやり取り以外にも、離れた場所でも会議ができるビデオ通話や従業員の状況が分かるスケジュール管理などがあります。

 

ビジネスチャットは、直接会わずに利用できるツールです。直接会って話すことに抵抗がある方は、まずは文書でのやり取りから始めるとよいでしょう。口頭でのコミュニケーションの練習にもなり、相手との距離が自然と縮まります。

 

ビジネスチャットを上手に使うコツは、結論から先に書くことです。また、迅速に伝えるのが目的のチャットでは、簡潔に書くことを心掛けましょう。

まとめ

エンジニアはクライアントやエンジニアとのつながりも多く、コミュニケーション能力の習得は必要不可欠です。コミュニケーション能力を磨けば厚い信頼を得られ、将来のキャリアアップにもつながります。バックトラッキングやペーシングといった手法を身に付けると、人と接するのが苦手な方でもスムーズに会話ができるでしょう。